方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―

当サイトはリニューアルします。
新サイトはこちらから見えます。
※新サイトの同じページに移動します。
  https://shinfoni.webnode.jp/classic-history/hojoki/02/ 


日本三大随筆の比較

今回も、方丈記について。

前回、僕が、方丈記を読んでどれぐらい衝撃を受けたかという話をしました。
ちょっと大げさだけど、雷に打たれるような感じ。
「古典なんかクソおもしろくないわ」って言っていたのに、「いやー、方丈記はいいわー」ってなるんだからね。
もー見事な掌返し。
正直、僕もここまでひっくり返されるとは思っていなかった。

それで、この方丈記だけど、読めば読むほど学生時代の方丈記の印象は消えた。
テストのためだけに暗記していた時と比べたら、自由に読むことができる。
別に、いちいち「この」が指しているものを気にしなくてもいい。
いちいち文法を気にする必要もない。
筆者がここで言いたいことを考えることもない。

だいたいね、そんなことばっかりやってるから、古典の授業はつまらないんだよ。
で、授業中に居眠りする奴が出てくるんだよ。
もっと物語として読めよ。
これほど人生を上手に物語っている古典ってないと思うよ。
しかも、方丈記はさ、けっこう良いこと書いてるんだから。

で、僕なんかだと、いつも悩みながら生活をしている。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、ってやつ。
で、困った時なんかに誰かに相談したりもするけど、あれ、ダメね。
基本的に他人は、無責任にテキトーなことばっかり言うだけだから。
相談して損したってことが、非常に多い。
僕の場合はだけど。

例えば、自己啓発の本、心理学系の本。
ぱっと見、良いこと、面白いことを書いてあるように見えるけど使えない。
初めて読んだ時は、突き刺さる。
だけど、何回か読んでいると、だんだん突き刺さらなくなっていく。
この役立たずって言いたくなる。
で、ブックオフに売りに行く。
買い取り額、わずか10円。
まー、こんなもの。

やっぱり、なんだかんだ言って、僕には方丈記が一番似合う。
少なくとも、読んでガッカリすることがない。
いつ読んでも心が救われる。
もし、無人島に一冊だけ本を持っていくなら、間違いなく方丈記だろうね。
っていうぐらい、僕の中では最高の本。

と、まーね、これぐらい書けば、僕の方丈記愛も少しは伝わるかな。
多分。。。
ただ、最終的には、ものごと全て合う合わないがある。
僕が、方丈記を好きでも、逆に嫌いだったり、どうでもいいと思っている人間もいる。
しかも、僕の身近にいる。
うちの嫁さん。

うちの奥さん、勉強が大の苦手。
ていうか、知性のかけらを感じることがあまりない。
ただ、要領は良い。
例えば、大学時代の成績なんか、ほとんどが「優」。
テストには強いのね。

で、こういうタイプの人間は、要領がいいから、ものごとをシンプルに考える。
深堀することがない。
で、僕が、方丈記を読んでいる。
すると、「古典を読む意味が分からん」って言ってくる。

いや、僕だって、最初は、こんなクソくだらんもん読めるかって思っていた。
でも、実際に読んでみると、本当に、これいいなーって思う。
人生って、本当にこのとおりだなーって思うから。

この方丈記、多くの人が難しいと思っている。
だから、はっきり言います。

「安心してください!難しくありません!」

これ、本当だから。
そりゃね、古典だから、現代文を読むようにスラスラとは読めないよ。
でも、訳を読めば、すぐに読めるから。

そして、この方丈記、長いんじゃないのって思っている人もいると思う。
これも、声を大にして、はっきり言います。

「安心してください!短いです!」

例えば、方丈記と同じぐらいの時期に書かれた作品に、徒然草、枕草子、源氏物語、平家物語ってのがある。
で、方丈記、これらの作品と比較して、圧倒的に文量が少ない。
僕の手元にある文庫本だと、わずか20ページ。

仮に、1ページ1分で読んだとしても、20分もあれば十分。
訳も読んだところで、30分もあれば十分に読めるかなと。
何となくだけど、読めなくもないなっていう気がしてきたんじゃない?

で、最後。
せっかくなので日本三大随筆について、ちょっと勉強をして終わりにしたいと思います。
日本三大随筆。
それは、枕草子、徒然草、方丈記の3つ。
ジャンルは随筆だから、今でいうエッセイ。

◆枕草子
【作者】清少納言
【成立】平安時代
【特徴】平安美を意識した作品。
    何回も「をかし」という表現が出てくる。
    清少納言が「をかし」と感じたものを書き綴った作品。
    「をかし」は、興味深いとか、風情があるとか、面白いとか、そんな意味。
【余談】源氏物語を書いた紫式部とはライバルを通り越して犬猿の仲(だとか)。
    しかも、清少納言は、枕草子の中で人の悪口を書いてるんだとか。

◆徒然草
【作者】兼好法師
【成立】鎌倉時代(後期)
【特徴】兼好法師が心に思ったこと、気になったことを書き綴った作品。
    テーマが非常に幅広い。
    実は、成立後100年近くは人に知られることもなく埋もれていたんだとか。
【余談】一話完結の話を寄せ集めた超大作。
    僕も全部を読んだわけではないけど、一話完結なのでとても読みやすい。

◆方丈記
【作者】鴨長明 【成立】鎌倉時代(前期)
【特徴】災害(五大災厄)について書かれた災害記録としての側面がある。
    (枕草子や徒然草と比較して)自叙伝的性質が強い。
    (枕草子や徒然草と比較して)文量が少ない。
【余談】随筆ではあるが自叙伝的な性質もあり、その意味では鴨長明のモノローグな印象。
    個人的には、作風は(本人も含めて)、太宰治や坂口安吾に近いように思うけど。

まー、ざっとこんな感じ。
で、ここで太宰治、坂口安吾の名前を出したけど、僕の中では、この二人と鴨長明を同類項でくくっている。
生い立ちとか、作風とかがけっこう似ているところがあると思うし。
特に、太宰治と鴨長明。
二人とも「女々しくて、女々しくて、つらいよー」ってところは、完全に同じじゃないかなって。

今回はこの辺で。

次のページ>>方丈記の分析
前のページ>>方丈記に対する誤解

無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう