方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


確証バイアス

今回は、確証バイアスについて。

確証バイアス。
あまり馴染みがない。
そもそも、「確証」も「バイアス」も、ふだんは使わない。

まーね、「確証」については、確かな証となる。
つまり確かな証拠。
日本語だし、これぐらいは何となく想像はできる。

「バイアス」については難しい。
例えば、僕は、ずーっと理系の中で生きてきた。
大学も理系だし、働いていた会社も化学系だった。
で、そういう環境で生きていると、バイアスと言うと「電流を流す」とか「電圧をかける」という意味になる。

ただ、心理学で「バイアス」と言うと、「偏り」を言うらしい。
例えば、傾向、偏向、先入観、そういったことを指すらしい。

で、この確証バイアスというのは、認知バイアスの中の一種で、

「自分の目的に合致する情報ばかりを集めて、自分の目的に合致しない情報を無視するという心理学の法則」

のことなんだとか。

例えば、僕たちは、何かを判断するとき、できるだけいろんな角度から判断をする。
少なくとも、そうしようとするはず。
それは、一部分だけ見て全体を判断すると、全体を見誤る場合があるからですね。

で、実際どうかと言うと、物事を一面でしか捉えていない場合が多い。
もっと言うと、自分の角度からしか見ていない。
自分の目的や結論に合わない情報はスルーする。
まー、こういうことってよくある。

それで、確証バイアスについては、少し面白い問題があるんだそう。
それは、ウェイソン選択課題というもの。
ちなみに、この問題は2つある。

●問題1

4枚のカードがテーブルの上に置かれています。
それらのカードは、表にアルファベット、裏に数字が書かれています。
そして、見えている側には「A」、「S」、「4」、「7」と書かれています。
このとき・・・

表が「A」なら、裏は「4」である、というルールが成立するためには、どのカードをめくればよいでしょうか?
めくるカードは2枚あります。

はい、この問題、どうですか?
分かりましたか?
ちなみに、この問題で一番多い回答は、「A」と「4」。
で、もちろん、答えとしてはバツ。

「えー、なんで?」って思いませんでしたか?
いや、実は、僕も、しっかりと「A」と「4」を選びましたよ。
うーん、残念。。。

では、次の問題はどうですか?

●問題2

4人がそれぞれ飲み物を飲んでいます。
その4人は、「お酒を飲んでいる人」、「コーラを飲んでいる人」、「30歳の人」、「18歳の人」です。
このとき・・・

「飲酒はハタチを過ぎてから」というルールが成立するためには、どの人を確認すればよいでしょうか?
確認する人は2人います。

はい、この問題は、どうだったでしょうか?
ちなみに、この問題で一番多い回答は、「お酒を飲んでいる人」と「18歳の人」の2人です。
そして、これが正解。
さすがに、これは間違えてないですよね(笑)

それで、この2つの問題って、実は、つくりは全く同じ。
にもかかわらず、正解率は全く違うんだとか。
ある記事によると、正解率は、質問1が5%、質問2は、ほぼ100%なんだとか。
で、問題は、なぜ、ここまで差が出るのかなんですね。

例えば、問題2。
「飲酒はハタチを過ぎてから」というルールが成立するためには、まず、「お酒を飲んでいる人」の年齢をチェックする必要がありますよね。
これは、もー、無条件ですよね。

で、次に確認しないといけないのは、「30歳の人」じゃないですよね。
だって、ハタチを過ぎた人は、お酒を飲んで良いんだから。
ということは、「30歳の人」を確認するのは、意味がないわけね。

で、今度は、逆に、ハタチ未満の人がお酒を飲んでいないかを確認する必要が出てくる。
ということは、「18歳の人」を確認しないといけない。
と、まー、こういう感じになる。

次に、問題1の場合。
表が「A」なら裏は「4」であるというルールが成立するためには、無条件で「A」の裏面を確認しないといけない。
これは、すぐに分かる。

で、次に確認すべきカードは、問題2と同じように考えるなら、「7」のはず。
なぜなら、逆を確認しないといけないから。
飲酒はハタチからを確認するために、「18歳の人」を確認したのと同じ。

つまり、「7」と書かれた数字の反対面に、「A」が書かれていないことを確認しないといけないのね。
じゃないと、表が「A」なら裏は「4」であるというルールが成立しなくなる。
というわけで、問題1の場合は、「A」と「7」を選ばないといけないのね。

まー、要は、人間は、「こうだと思うと、その逆の考え方を取り入れることができなくなる」ということ。
第三者から見ると、「それ違うよ」ってなるんだけど、当の本人は「これで間違いない」と思い込んでしまうこと。
でも、こういうことって、あると思う。

例えば、壁にぶち当たった場合。
できると判断した者は、できる理由を探す。
でも、できないと判断した者は、できない理由を探す。
つまり、人間というのは、自分が導き出した結論に合致するような情報を集めるというのが、根底にあるのかもしれない。
だとすると、イエスマンで周囲を固めるというのも、分からない話じゃないよね。
これが、確証バイアスかどうかは分からないけど。

あと、オレオレ詐欺なんかも、同じじゃない?
ごめん、これもテキトーに書いたけど。
「ばあちゃん、オレオレ。ちょっと今、風邪引いてて声の調子が悪いんだけど・・・」と言った感じで話が始まるやつ。
で、後は、台本通りに話が進んでいく。
いや、本当に、こういう流れかは知らないですよ。

これなんかも、冷静になれば、電話の声が自分の子どもかどうかなんて、分かるはずですよ。
いや、実際、分かっていると思いますよ。
ところが、もしかしてと思ったら、そこからダマされるのね。
これなんかは、本当に人間の心理をうまく利用していると思う。
あと、架空請求詐欺も同じか。

で、こういうのって、幽霊と同じかもしれない。
幽霊なんていないけど、いるように思うと、なんでもかんでも幽霊に見えてくる。
冷静になれば、全然、幽霊でも何でもないんだけど。

今回はこの辺で。

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