方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


瀬戸内寂聴~僧侶らしくない僧侶

今回は、瀬戸内寂聴さん。

この瀬戸内さんは、なかなか面白い経歴の持ち主。
現在は、天台宗の僧侶として活躍している。
ただ、その辺のお坊さんとは、全く違う。

徳島県生まれで、徳島高等女学校から東京女子大学に進学している。
小さい頃から、本を読むのが好きで、頭も良かったらしい。
で、小さい頃から、小説家を目指していたという。

戦争中の1943年に結婚をするも、夫の教え子と不倫をする。
そして、夫と子どもを捨てて家を出てしまう。
最終的に、夫と離婚をするんだけど、この後、別の男性と不倫関係になる。
しかも、この男性とも、最終的に分かれることになる。
しかも、この後、一回目の不倫相手と再度の不倫。

つまり、瀬戸内さん、人生で三回不倫をしている。
しかも、そのことを小説にしたら、小説界で総スカンを喰らってしまう。
いや、そうだろうよ。
三回も不倫して、それを小説にするんだから、嫌われるのも無理はない。

それで、瀬戸内さん、死のうかなと思ったこともあったらしいけど、死ねなかった。
でも、生きていくだけの勇気もなかった。
で、瀬戸内さんの人生は、一旦停止となる、。
この窮地を救ってくれたのは、今東光さんだった。

今東光さん。
僕も、詳しくは知らないけど、中尊寺の貫首で、小説家。
口は悪かったらしいけど、普段はとても大らかで、しかも、肝が据わっていた。
で、この今東光さんを師僧として、瀬戸内さんは出家をする。
瀬戸内寂聴の「聴」は、今東光さんの法名である「春聴」から取ったものだった。
間違いなく、今東光さんがいなければ、瀬戸内寂聴もいなかったと思う。

それで、こんな経歴だから、瀬戸内さんの評判は、まーまー悪い。
僕も、たまに瀬戸内さんの動画を見たりするけど、正直、テキトーだなと思うことがある。
でも、好きか嫌いかで言うと、多分、好きだと思う。

だって、瀬戸内さんの話って、けっこう面白い。
僧侶だから、僧侶的な発言もするけど、僧侶と思えないような発言をする時もある。
そこが、この瀬戸内さんの魅力。
そもそも、ふつーの僧侶の経歴ではない。

で、今回は、そんな瀬戸内さんの魅力あふれるコメントを調べてみた。

●結婚生活
瀬戸内さん:結婚生活はね、私、やっぱり3割の妥協は必要だと思いますね。
司会者  :3割ですか・・・その数字はどこから?
瀬戸内さん:うーん、今、ふっと出たんですよ(笑)

●自分が何をしたいのか分からないという相談者に対して。
瀬戸内さん:少なくってもですよ、給料が少なくてもやっていける、その方がずっと生き甲斐がありますよ。
      これは、私にしかできないっていうのを探せば一番いいの。
司会者  :はあー。この方、自分が一体何をしたいのか、何が好きなのか、さっぱり分からないって・・・
瀬戸内さん:そんなこと私に言われたって分からないわよ、自分が分からないのに。
二人   :ははは。
司会者  :そうですよね。でも、こういう人多いんですよ。
瀬戸内さん:そうなんですよ、多いんですよ。それはね、甘えです。ね、人生に対する甘え、自分に対する甘え。

●自分の内面を磨こうとして本を読んだものの、性格が変わらないという相談者に。
瀬戸内さん:そういうことでね、まずは自分を好きになることですね。
      そして、自分が好きになったらね、幸福な顔になります。
      そうすると、その人にあった人が幸福になります。
司会者  :はい。
瀬戸内さん:自分に自信を持ちなさいということね。
司会者  :はい。一応、自分の内面を磨こうと思って本など読んでみたんですけど、嫌な性格変わらないっていう・・・
瀬戸内さん:私の本を読めば良かったのよね(笑)
司会者  :あー、それが大事でしたわね(笑)
瀬戸内さん:選び方が悪かったのよね(笑)
司会者  :あー、誰の本を読んだんでしょうね。(笑)

●いただいたお手紙に。
瀬戸内さん:自分が幸せでないとね、人を幸せにすることはできません。
司会者  :はい。
瀬戸内さん:だからね、世の中でね、一番自分を知ってるのは自分なんだからね、まず、自分を好きになることですよ。
      最近ね、あのー、私の知らない人からね、お手紙いただきましてね。
      その人はね、昔々、岡本太郎さんがね、そのね、講演に来てくれたんですってね。
      なんか、無理に頼んだら来てくれたって。
それで、その時にね、まだ元気で生き生きしていた時の太郎さんがね、言った言葉で
      「自分を好きになりなさい」ってね、言ったんですね、その講演で。
      その一つを覚えているけどね、それで私の人生感変わりましたってね、そういう手紙を私もらってね・・・
      何で私にそれを言ってくるのか分からないんだけど(笑)
二人   :ははは。

●法話で①
小説家になりたいと思ったのは、小学校の3年からなんですけどね、それが小説家になれました。
これね、なりたいと思ってもね、なかなかなれないんですよ。それがね、幸運でなれました。
そしてね、しかもね、皆さんがね、あの本とにお顔も知らない皆さんがね、買ってね、たくさん読んでくださいました。
でね、小説家になってもね、売れない作家と売れる作家がいるんですよ。
私はね、売れる方だったのね。
(会場大爆笑)
だからね、それもありがたいことでしょ。

●法話で②
町長さんからね、もう天台寺にね、そのね、村の人たちが一人残らずあなたを待ってますって、心から待ってますってね。
来てみたら全然そうじゃない。
町でね、こう、喋ってるのもね、言葉もちょっと分からないですね。
でも、悪口はよく分かるね。
「この天台寺にね、尼さんが来たの知ってるか?」なんて言ったりして。
「あっ、京都から来たらしいね。どうせ京都で食い潰してここへ来たんだろ」って。
ここはね、食い潰してくるようなお寺じゃないの。
今の住職がね、先ほどご挨拶されて言いにくいんですけど、本当に貧乏なね、ボロボロのお寺でね、来てみてびっくり仰天したんですね。

●主人を失くしてからずっと泣いてばかりという60代ぐらいの女性に。
あのー、亡くなった人はね、やっぱりね、先に死んでね悪かったと思ってね、あなたをちゃんと守っているんですよ。
それでね、あの、亡くなった人はね、あなたが泣いているのよりね、笑っているのを願っているんです。
だからね、あなたがもしね、その悲しみからだんだんと癒えてね、治っていってね、またご主人と違うね、まー、あるいはそっくりかもしれないけど、男が出てきたらね、あなたが好きになったらもう一度結婚してもいいし、結婚しないで、あのー、そのね、愛し合ってもいいしね。
まだね、あなたもう1回ぐらい出てきます(笑)

●トンチンカンもここまで来ると。
法話をしましたとき、後で、皆さんから色んな質問を受けることにしているんですよ。
そうしたら、その中の一人、きれいな中年の奥さんが立ち上がりましてね、ボソボソボソと何かおっしゃったんですよ。
私はそれを「半年前に何かとてもいいことがありまして」というふうに聞きまして、「それはおめでとうございます」って言ったんです。
そしたら、聴衆がみんなワーッって笑うんですね。
どうしたのかと思ったら、「半年前に主人が亡くなりまして」ってその方は言ったんです。
それを「それはおめでとうございます」って言ってしまいましてね、大変恥かきました(笑)

最後に少しだけ余談。
先日、瀬戸内寂聴さんが亡くなった。
まだまだ長生きしてくれると思っていたので、とても残念な思いだった。
こんな型破りな僧侶は、もう二度と出てこないんじゃないだろうか。
破壊坊主みたいなところもあったけど、そういう危なっかしいところが瀬戸内さんの魅力だと思う。

今回はこの辺で。

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