方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


トロッコ問題①

今回は、トロッコ問題について。

これ、正直、心理学ではない。
どちらかと言うと、道徳的なお話。
あなたならどうしますかってお話。

僕は、最初、この話を聞いて面白かった。
もちろん、腹を抱えて笑うというような面白さではないけど。
まー、ちょっとした興味を感じた。

で、ここからが問題。

今、線路の上をトロッコ列車が暴走をしています。
そのトロッコ列車の前方少し先には、5人の作業員が線路の修理をしていました。
ところが、5人はトロッコ列車の存在に気が付いていません。
このまま行くと、トロッコ列車は間違いなく5人に突っ込みます。
そうなると、間違いなく5人は全員死亡することになるでしょう。

で、あなたは、今、はたでその様子を見ています。
何とかしないといけません。
そして、トロッコ列車の進行方向を切り替えることを思いつきます。
そして、急いで、切り替えスイッチに向かいます。

ところが、切り替えスイッチに手をかけた時。
切り替えようとした線路の先には、1人の作業員が線路の修理をしていました。
もし、線路のスイッチを切り返れば、この作業員は死ぬでしょう。

あなたは、この時、線路の切り替えスイッチを切り替えますか?
それとも、そのままにしますか?

この問題は、1967年に、イギリスの倫理学者フィリッパ・フットが考案したもの。
で、この問題、平たく言うのなら、「ある人を助けるために、他の人を犠牲にすることが許されるか」ということ。

ちなみに答えはありません。
ていうか、あってたまるか、ですよ。

そして、条件は、次の3つ。

・あなたの行為は、法的に責任を問われない。
・大声で作業員に知らせるのはなし。
・近くにある石とかを線路の上に置くとかもなし。

図で書くと、こんな感じです。

では、ポイントを切り替えた場合と切り替えない場合で、おさらいをします。

●ポイントを切り替えた場合
1人が命を落とします。
その代わり、5人は命が助かります。

●ポイントを切り替えない場合
5人が命を落とします。
その代わり、1人は命が助かります。

このトロッコ問題、様々なところで実験をされたそうです。
そして、どこの実験結果も、結果は同じだったそうです。
で、その実験結果ですが・・・

「ポイントを切り替える」

と答えた人が、圧倒的に多かったそうです。
しかも、その割合・・・

85%

だったとか。

ということは、逆に言うと、15%の人は、「ポイントを切り替えない」を選択したことになる。
ちなみに僕は、迷わずポイントを切り替えますけど。
だって、ふつーはそうするんじゃない?

さて、今回の実験結果から何が言えるのか?
それは・・・

「5人を救うためなら、1人を犠牲にすることもやむを得ない」

ということだと思う。
実際、僕もそう考えて「迷わずポイントを切り替える」を選択したので。
まー、常識的な判断だと僕は思っていますが。。。

で、この考え方の特徴としては、人命を数字で捉えているところです。

ただ、気になるのは、ポイントを切り替えないとした人たちが、何を思ってそういう判断をしたのか。
気になるよね?
気になるよねー。
じゃあ、話を続けるね(笑)
↑ もう、スルーしてください。

で、ポイントを切り替えないとした人たちの意見としては、次のようなものだったらしい。

・そもそもトロッコ列車は5人に向かって走っていたのだから、5人は死ぬ運命にあった。
・誰かを他の目的のために利用すべきではなく、何もするべきではない。

まー、こういう人だっていると思うよ。
ただ、何が、こういう違いになるのかは、ちょっと興味があるけど。

あと、これに類似する問題として、こんなのがあるらしい。

今、あなたは、ボートに乗って、5人の溺れた人を助けに向かっている。
ところが、その途中で、1人の溺れている人を発見する。
もし、今、目の前にいる1人の溺れている人を助けると、時間的に5人を救うことはできない。

あなたは、この時、目の前にいる1人の溺れている人を助けますか?
それとも、目の前で溺れている人を見捨てて、5人を助けに行きますか?

これなんかも、正直、難しいよね。
最初の問題と同じように考えるなら、1人を見捨てて5人を助けに行くはず。
ただ、今回は、目の前で溺れている人がいるわけ。
ということは、1人を見捨てることは、なかなかできない状況じゃない?
僕なら、この場合、間違いなく目の前で溺れているこの1人を助けると思うけど。

今回はこの辺で。

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