方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―

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また治承四年卯月廿九日のころ、中の御門京極のほどより、

【原文】
また治承四年卯月廿九日のころ、中の御門京極のほどより、大なるつじかぜ起りて、六條わたりまで、いかめしく吹きけること侍りき。三四町をかけて吹きまくるに、その中にこもれる家ども、大なるもちひさきも、一つとしてやぶれざるはなし。さながらひらにたふれたるもあり。けたはしらばかり殘れるもあり。

【訳】
また治承4年(1180年)の4月29日、中御門京極あたりから大きな竜巻が発生して、六条わたりまで通り抜けていったことがあった。三、四町の範囲を吹き荒らして、竜巻に遭った家は大きい家も小さい家も全て破壊されてしまった。そのままぺしゃんこの状態で潰された家もあれば、桁や柱しか残っていない家もある。

【わがまま解釈】
前回までは、安元の大火のお話だった。
で、今回からは、治承の竜巻のお話。
ところで、当時は、動乱の時代だった。
それで、方丈記には記述がなくても、多くの事件が起きている。
で、それを簡単にまとめてみた。

―――――――――――――――――――――――――――
   年           出来事
―――――――――――――――――――――――――――
 1177年     安元の大火
 1178年     治承の大火
 1179年     平重盛(平清盛の長男)病死。
           治承三年の政変
           善光寺焼亡
 1180年4月   治承の竜巻
 1180年6月   以仁王の挙兵
           福原遷都
―――――――――――――――――――――――――――

1177年、安元の大火が発生する。
1178年には、方丈記には書かれていないけど、治承の大火が発生している。
1179年には、長野の善光寺が火事に遭っている。
また、この年は、平清盛が治承三年の政変と言われるクーデターを起こしている。

それで、その後に起きたのが以仁王の挙兵。
さらに、その後に起きたのが福原遷都。

とにかく、政治は不安定。
平安京は、二度の大火でボロボロ。
この状況で、今度は、治承の竜巻が起きる。
正直、泣きっ面に蜂状態。
もはや、平安京にかつての輝きはなし。

安元の大火が起きる
 ↓
家が焼け落ちる
 ↓
家を建て直す
 ↓
治承の大火が起きる
 ↓
家が焼け落ちる
 ↓
家を建て直す
 ↓
治承の竜巻が起きる
 ↓
家が破壊される
 ↓
家を建て直す

という流れ。

毎年、家を建て替えさせるなって言いたくなる。
ていうか、ここまでくると、最初っからがれきの下に住めばって感じがしないでもない。
も-ね、家などあって無きが如しか。
もちろん、これら全ての災害に遭ったかどうかは知らないけど。。。

政権担当として平家一門も工事の指示・命令をして、少しでも首都復旧を急ぎたいところ。
ところが、今度は、以仁王が平家打倒の兵を挙げる。
さすがの平家も、平安京の復旧まで手が回らなかったのだろうか。

それで、平清盛は、平安京を諦めて福原遷都を目指す。
当時の福原は、源氏にとっての鎌倉みたいなところ。
平清盛は、福原に都を遷すことで、平家一門の再編成をしようとしたのかもしれない。
あるいは、あまりにも災害が多い平安京に、見切りをつけたのかもしれない。

また別のところで書くつもりだけど、長明さん、今回の竜巻について「これは神仏か何かの仕業か、あるいは何か悪いことの前触れか」なんて呟いている。
やはり、平安京を守護する下鴨神社の者として、これはただごとではないと思ったのかもしれない。
また、再三災害に遭う平安京を見て、今後の平安京に不安を感じたこともあったのではないかと思う。
それで、長明さんですら、こんなことを思うぐらい。
まして、平安京に住む一般の人々だと、さらに不安に思うこともあったのではないだろうか。

ここからは雑談。

竜巻って、たまーに起きる。
正直、竜巻ってそんなに怖いイメージもない。
ただ、治承の竜巻なんかは、家が吹き飛ばされるぐらいだから相当すごかったんだろうと思う。

それで、以前、すごい竜巻が起きたことを思い出した。
調べてみたら2012年だった。
この時の竜巻は、茨城県と栃木県の両県に大きな被害をもたらした。
多分、この時の映像を見たら、これが本当に竜巻によるものかと思うんじゃないだろうか。
それぐらい、すごい竜巻だった。

ただ、僕の中で、素朴な疑問が浮かぶ。
正直、どうでもいいことだけど。
それは・・・

「京都って、竜巻のイメージがない」

ってこと。

それで、都道府県別の竜巻の発生回数を調べてみた。
参考までに書くと、気象庁の資料で1991年から2017年までの竜巻の記録となる。
これを見ると、京都って竜巻が少ない。
まー、昔からそうなのかは分からないけど。
ただ、昔もそうだとしたら、長明さん、かなりレア体験をしたのかもしれない。

北海道
東北
発生数 関東
甲信
発生数 東海道
北陸
発生数 近畿 発生数 中四国 発生数 九州 発生数
北海道 47 茨城 11 静岡 17 滋賀 岡山 福岡
青森 栃木 10 愛知 17 京都 広島 大分
秋田 25 群馬 岐阜 大阪 島根 長崎
岩手 埼玉 16 三重 14 兵庫 鳥取 佐賀
宮城 東京 新潟 16 奈良 山口 熊本
山形 千葉 15 富山 和歌山 14 香川 宮崎 27
福島 神奈川 石川 13     徳島 鹿児島 24
    長野 福井 10     愛媛 沖縄 43
    山梨         高知 34    
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