方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


トロッコ問題②

今回も、引き続きトロッコ問題。

これ、僕の中では、面白い問題。
ただ、こんな問題、よく思い付くなーって感心するけど。。。

それで、今回の問題はこれ。

今、線路の上をトロッコ列車が暴走をしています。
そのトロッコ列車の前方少し先には、5人の作業員が線路の修理をしていました。
ところが、5人はトロッコ列車の存在に気が付いていません。
このまま行くと、トロッコ列車は間違いなく5人に突っ込みます。
そうなると、間違いなく5人は全員死亡することになるでしょう。

で、ここからがあなたの出番。

あなたは、その様子を線路の上に架かる橋の上から見ています。
そして、あなたのそばには、たまたま誰か1人が立っています。

で、ここからが、少し恐ろしい発想。
ここで、あなたが、そばにいるこの人を橋の上から突き落とせば、それが邪魔となりトロッコ列車は確実に止まる。
もし、あなたが、何もしなければ、5人は死んでしまうでしょう。

あなたは、この人を橋の上から突き落としますか?
それとも、何もしませんか?

ちなみに、この問題も答えはありません。
ていうか、あってたまるかですよ。

図で書くと、次のような感じ。

そして、条件は、次の3つ。
・あなたの行為は、法的に責任を問われない。
・大声で作業員に知らせるのはなし。
・そばにいる人は、突き落とされることに抵抗しない。

このトロッコ問題を考えていたら、究極の選択を思い出した。
究極の選択。
覚えていますか?
例えば・・・

うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、どっちを食べる?

とかっていうやつ。
まーね、全然、次元は違うけどね。
でも、これだって、難しいですよ。

うんこ味のカレーは、カレーだけど、味はうんこ。
カレー味のうんこは、味はカレーだけど、うんこ。
どっちも食べたくはない。
でも、どっちかを選択しないといけない。

うーん、難しい。
むしろ、なんかよく分からないけど、トロッコ問題よりも難しい感じがしてきたし。。。

あと、昔、どっちの料理ショーという番組があった。
関口宏と三宅裕司の2つのチームに分かれて、どっちの料理がおいしいかを競う番組。
覚えている人いる?
正直、あれは、どっちでも良かった。

すみません。
話を戻します。

ここで、簡単にまとめます。

●そばにいた人を突き落とした場合
突き落とした人(1人)は命を落とします。
その代わり、5人は命が助かります。

●たまたまそばにいた人を突き落とさなかった場合
5人が命を落とします。
その代わり、突き落とされなかった人(1人)は助かります。

さあ、あなたならどうしますか?

基本的には、トロッコ問題①と同じです。
ただ、ちょっと違う。
何が違うか?

・トロッコ問題①(前回)・・・切り替えスイッチを操作することで、誰かを殺してしまう。
・トロッコ問題②(今回)・・・自らが手を下すことで、誰かを殺してしまう。

ということですね。

それで、トロッコ問題①(前回)の時は、85%の人が「5人を救うためなら、1人を犠牲にすることもやむを得ない」と回答したそうなんですね。
ところが、今回の問題の場合、「そばにいる人を突き落とす」と回答した人、すなわち「5人を救うためなら、1人を犠牲にすることもやむを得ない」と回答した人は、かなり少なかったそうです。
具体的に何パーセントというのは不明だけど。

で、これをどう理解したらいいのか。
恐らく、「5人を救うためであっても、1人を犠牲にすることは許されない」という心理が働いたんだと思うんですね。
つまり、自らが直接手を下して人を殺すことに、大きな抵抗があるんだと思うのね。

で、ちょっと思い付いたことがあった。
それは、もし、今回の問題の場合で、隣にいた人が極悪犯罪人であったら、どうなんだろうってこと。
たとえば、最近って、あおり運転だけじゃないけど、すぐに切れる人が多い。
で、僕なんかだと、けっこう正義というのを大切にしたいと思っているわけ。
で、あくまでも、僕の場合だけど、今回の問題の場合で、隣にいた人が極悪犯罪人だったら、間違いなく下に突き落とすと思う。
別に、極悪犯罪人でなくてもいいけど、例えば、「こいつだけは絶対に許してはならねえ」っていう奴が隣にいたら、迷わずそいつを下に突き落とすと思う。
だって、それは正義だと思うから。

で、そんなことを考えていると、「人間というのは、自分が正義だと思えば、人を殺すこともハードルが下がるんじゃないか」と思ったわけね。
それぐらい正義というのは、人間に強力に作用する。
あるいは、正義を前にすると、人間は弱い。
なんてことを思った。

ただ、人間が、自分に正義があれば、何でもできるのかと考えた場合、実はそうでもなかったりする。
例えば、いじめとか、パワハラとか、けんかの仲裁とか。
僕たちは、いじめやパワハラ、けんかを見ても、誰も注意しないよね。
もし、人間が正義に従うのなら、必ず止めに入るはずじゃない?
だけど、実際は、誰も止めに入ろうとしない。

ということは、「正義というのは、人間に強力に作用する」なんて書いたけど、時と場合によるのかもしれない。
正義というのも強い時もあれば、弱い時もあるんだろうね。

今回はこの辺で。

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