方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―

当サイトはリニューアルします。
新サイトはこちらから見えます。
※新サイトの同じページに移動します。
  https://shinfoni.webnode.jp/classic-history/hojoki/ 


方丈記に、似た運命

01 方丈記に対する誤解
02 日本三大随筆の比較
03 方丈記の分析
04 方丈記の原文
05 鴨長明~人生の斜陽
06 鴨長明~人生の反撃
07 鴨長明~エピソード
08 鴨長明の履歴書
09 下鴨神社について
10 神社の階級
11 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
12 玉しき都の中にむねをならべいらかをあらそへる
13 知らず、生れ死ぬる人、いづかたより来りて、いづかたへか去る。
14 およそ物の心を知れりしよりこのかた
15 いにし安元三年四月廿八日かとよ、風烈しく吹きてしづかならざりし夜、
16 火本は樋口富の小路とかや、病人を宿せるかりやより出で來けるとなむ。
17 あるひは煙にむせびてたふれ伏し、或は炎にまぐれてたちまちに死しぬ。
18 人のいとなみみなおろかなる中に、さしも危き京中の家を作るとて寶をつひやし心をなやますことは、
19 また治承四年卯月廿九日のころ、中の御門京極のほどより、大なるつじかぜ起りて、
20 又門の上を吹き放ちて、四五町がほどに置き、又垣を吹き拂ひて、隣と一つになせり。
21 つじかぜはつねに吹くものなれど、かゝることやはある。たゞごとにあらず。
22 又おなじ年の六月の頃、にはかに都うつり侍りき。いと思ひの外なりし事なり。
23 されどとかくいふかひなくて、みかどよりはじめ奉りて、大臣公卿ことごとく攝津國難波の京にうつり給ひぬ。
24 軒を爭ひし人のすまひ、日を經つゝあれ行く。
25 その時、おのづから事のたよりありて、津の國今の京に到れり。
26 ありとしある人、みな浮雲のおもひをなせり。
27 伝へ聞く、いにしへの賢き御世には、あはれみをもって、国を治め給ふ。
28 又養和のころかとよ、久しくなりてたしかにも覺えず、二年が間、世の中飢渇して、あさましきこと侍りき。
29 これによりて、國々の民、或は地を捨てゝ堺を出で、或は家をわすれて山にすむ。
30 前の年、かくの如くからうじて暮れぬ。
31 あやしき賤、山がつも力尽きて、薪さへ乏しくなりゆけば、頼むかたなき人は、自らが家をこぼちて、市に出でて売る。
32 またいとあはれなることも侍りき。
33 仁和寺に隆暁法院といふ人、かくしつつ数も知らず死ぬることを悲しみて、
34 崇徳院の御位の時、長承のころとか、かかるためしはありけりと聞けど、その世の有り様は知らず。
35 また、同じころかとよ、おびただしく大地震ふることはべりき。
36 その中に、ある武者のひとり子の、六つ七つばかりに侍りしが、築地のおほひの下に、
37 かく、おびたたしくふることは、しばしにてやみにしかども、その余波、しばしは絶えず。
38 四大種のなかに、水・火・風は常に害をなせど、大地に至りては異なる変をなさず。
39 すべて世の中のありにくく、わが身と住みかとの、はかなく、あだなるさま、またかくのごとし。
40 もし、おのれが身、数ならずして、権門の傍らに居るものは、深く喜ぶことあれども、大きに楽しむにあたはず。
41 また、勢ひあるものは貪欲深く、独身なるものは人に軽めらる。財あれば恐れ多く、貧しければ恨み切なり。
42 我が身、父方の祖母の家を伝へて、久しくかの所に住む、その後、縁欠けて身衰へ、
43 すべて、あられぬ世を念じ過ぐしつつ、心を悩ませること、三十余年なり。
44 すなはち、五十の春をむかへて、家を出て、世を背けり。
45 その家のありさま、世の常にも似ず。広さはわづかに方丈、高さは七尺がうちなり。
46 いま、日野山の奥に、跡を隠して後、東に三尺余りの庇をさして、柴折りくぶるよすがとす。
47 その所のさまをいはば、南に懸樋あり。岩を立てて、水をためたり。
48 もし、念仏もの憂く、読経まめならぬ時は、みづから休み、みづからおこたる。
49 また、麓に一つの柴の庵あり。すなはち、この山守が居る所なり。
50 歩み煩ひなく、志遠くいたる時は、これより峰続き、炭山を越え、笠取を過ぎて、或いは岩間に詣で、或いは石山を拝む。
51 もし、夜、静かなれば、窓の月に故人をしのび、猿の声に袖をうるほす。
52 おほかた、この所に住みはじめし時は、あからさまと思ひしかども、今すでに五年を経たり。
53 たびたび炎上に滅びたる家、また、いくそばくぞ。ただ仮りの庵のみ、のどけくしておそれなし。
54 すべて、世の人の住みかをつくるならひ、必ずしも、事のためにせず。
55 夫、人の友とあるものは、富めるをたふとみ、ねむごろなるをさきとす。
56 いかが奴婢とするとならば、もし、なすべき事あれば、すなはち、おのが身をつかふ。
57 衣食のたぐひ、またおなじ。藤の衣、麻の衾、得るにしたがひて、肌をかくし、
58 夫、三界はただ心ひとつなり。心、もし、やすからずは、象馬七珍もよしなく、宮殿楼閣ものぞみなし。
59 抑、一期の月かげ傾きて、余算の山の端に近し。たちまちに、三途の闇に向かはんとす。
60 静かなる暁、このことわりを思ひつづけて、みづから、心に問ひていはく

無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう