方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


決定回避の法則/現状維持の法則

今回は、決定回避の法則と現状維持の法則について。

まずは例題から。

今、あなたは、眼鏡を買おうとしています。
で、店に入ると、色んな眼鏡が置いてある。

・形も色々
・色も色々
・値段も色々

で、たまーに、お店の人が来てね、「良かったらかけてみてください」なんて言われたりもする。
中には、「最近はこういうのが流行っていますよ」って、教えてくれたりもする。
それで、ちょっと良いのがあれば、それをかけてみたりもする。

で、一応ね、気に入ったのがあれば、買おうとは思っているのね。
ところが、どうも決め手がなかったりする。
それで、今日のところはあきらめて、そのまま帰ることにした。

それで、こういうことってありませんか?
買い物をしようと思ってお店に入ったものの、何も買わずに出るパターン。
自分もそうだっていう人、多いんじゃないですかね?

ちなみに書くと、僕もそうなんですよ。
もうね、今では、そうなるのが分かっている。
で、1回目に買い物に行く時は、たいてい見るだけにしている。
で、少し時間をおいて、やっぱりいると思えば、買いに行くようにしている。

はっきし言って、二度手間。
でも、それ以外の部分では、特に問題もない。
で、ずーっとこのスタイルを貫いている。

で、なぜ、わざわざこんな手間がかかる方法を取っているのか?
平たく言うと、

「たくさんあり過ぎて、その場で選べない」

から。

つまり、たくさんあることで、どれにしようかなって迷うわけ。
で、僕は、迷っている内は、買わないことにしている。
で、一旦、家に帰ってから、やっぱり欲しいと思えば、買いに行くようにしている。

それで、間違ってもらったら困るんだけど、近所のスーパーで買い物するぐらいでは、こんなことしてないから。
例えば、野菜を買うのに、買うか買わないかを迷って、迷っている内は買わないとか言って、家に帰ったりはしないから。
さすがに、スーパーで買い物するときは、その場で判断するから。

それで、話を戻します。
どーも、人間というのは、商品が多いと、「今日は、これを買うぞー」とならない場合があるんだとか。
色々とあり過ぎると、かえってどれを買おうかと迷ってしまって、買わない場合もあるらしい。

で、このお話の元になったお話がこれ。

アメリカのあるスーパーで、週末になると、ジャムを売っていた。
で、その売り方には、2パターンあった。

パターンA:24種類のジャムを販売
パターンB:6種類のジャムを販売

で、この時、試食した人の割合と購入した人の割合で、違いがあった。

        試食した割合(%) 購入した割合(%)
――――――――――――――――――――――――――――
パターンA:    60         3
パターンB:    40        30

分かるでしょうか?
パターンAの方が、ジャムの種類が多くて、試食した割合も多かった。
にもかかわらず、実際に、購入した人の割合は、わずか3%。

一方のパターンB。
ジャムの数は少なく、試食した割合も少なかった。
だけど、実際に、購入した人の割合は、30%。

で、研究者たちは、今回の結果について、次のように説明した。

選択肢が多過ぎる。
 ↓
どれを選んでいいのかが分からなくなる。
 ↓
(結果的に)決定を回避しようとする。

これが、「決定回避の法則」です。

それで、本とかどうかは知らないけど、最近の未婚率の高さにも、この決定回避の法則が働いているんだとか。
それによると、昔だったら、ご近所さんどーしの結婚とかお見合い結婚が主流だった。
ところが、今だと、男性も女性も働きに出るようになり、出会いの場が多くなった。
しかも、結婚をしない生き方も、考えとしては増えてきた。

つまり、異性に出会う数が多くなり、結婚をしないという選択肢もできた。
そういうのが、未婚率の高さに出ているんだとか。
いや、本とかどうかは知りませんよ。
だって、証明のしようがないし。

次に、現状維持の法則について。
まー、これも、基本的には、決定回避の法則に近いと思うけど。

例えば、食堂で昼ご飯を食べることを考えてみます。
そうですねー、学生食堂とか社員食堂とかをイメージしてもらうといいかなと。

で、このとき、注文するものって、だいたい同じじゃないですか?
例えば、僕の場合、学生時代、会社員時代を思い出してみて、注文するものってほとんど同じでしたよ。
まー、日替わり定食を注文すれば、毎回、中身は違うけど。
もちろん、こういった食堂の場合、メニューが限定されているとか、そんなのもあるけど。

で、なぜ、色々とメニューがあるのに、いつも同じものばかり選んでしまうのか?
これが、「現状維持の法則」というわけですね。

つまり、決定回避の法則も現状維持の法則も、スタートは何かを選ぶことが始まるわけですね。
ところが、選択肢が多いと選ぶのがめんどくさくなる。
あるいは、あれこれと考えることがめんどくさくなる。
そうなると、いつものを注文することになる。
この、いつものを注文するのが、「現状維持の法則」ですね。

というわけで、この2つの法則をまとめると、

●決定回避の法則
選択肢が多過ぎて迷う場合に、その決定の回避が可能であれば成立

●現状維持の法則
選択肢が多過ぎて迷う場合に、その決定の回避が不可能である場合に成立
(決定回避ができない場合に、せめて決定のプロセスを省略しようとすることで成立)

と言えるかと思う。

それで、最後に少し。
現状維持の法則については、男の人には多いと思うんですね。
とにかくいつものパターンだとか、セオリーを大事にする人って、多いと思うんですよ。
例えば、どこかに飲みに行っても、男の人だと、だいたいがいきつけの店に行くことないですか?
あれなんかも、現状維持の法則だと思いますが。

今回はこの辺で。

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