方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


麻酔について

今回は、麻酔について書きます。

麻酔。
イメージで言うと「麻酔=クロロホルム」だと思う。
本当にイメージで申し訳ないけど。

たいてい、刑事もののドラマの場合、相手を眠らせる場合は、決まってクロロホルムを使う。
むしろ、クロロホルム以外の場合を知らない。
で、正直、クロロホルムで眠ることはない。
絶対にない。

だからと言って、麻酔の効果がないかと言うと、そうでもない。
クロロホルムには、麻酔の効果はある。
だけど、眠るほどのレベルではない。

実は、僕、大学の時に化学を専攻していた。
で、ほとんど毎日、クロロホルムを使っていた。
意外とあの匂い、僕は、好きだった。
まー、だいたい、有機溶媒って良い匂いがするのね。
でも、決して、眠たくはならなかった。

すみません。
別に、クロロホルムの話は、どうでも良かったですね。

一応ですね、僕の妻の体験談によると、手術室に入ると、まず看護婦さんたちが、色々と準備をするらしい。
で、その準備の状況を見て、麻酔科医が登場する。
てっきり僕は、主治医(担当医、執刀医)が、麻酔をするのかと思っていたけど、そうじゃないらしい。
しかも、主治医(担当医、執刀医)が手術室に入ってくるのは、一番最後なんだとか。
確かに、順番的には、それが正しいんだけど。。。

で、酸素マスク(多分、酸素マスクのはず)が付けられて、点滴が始まる。
すると、麻酔科医が、「これから麻酔をかけます」って言って、「1、2、3、4、5・・・」って数字を数えるらしい。
でも、僕の妻曰く、「だいたい5までしか覚えていない」んだそう。
で、次に目が覚めるのは、手術が終わってからとなる。
手術時の麻酔の流れとしてはこんな感じらしい。

それで、ここからは、麻酔を受ける際の注意点について書きたいと思います。
これも、病院からもらった冊子を参考に書いています。

◆喫煙について
喫煙は手術の傷を治りにくくし、手術後の無気肺(肺の一部が膨らまなくなる病気)や肺炎、血栓症を増加させます。
2日間の禁煙で血液中の酸素量が正常になり、2週間の禁煙で痰が減ると言われています。
肺の動きを元に戻すためには、少なくとも4~6週間を要すると言われています。
全身麻酔中は人工呼吸器を用いますし、特におなかの手術では痰が出しにくくなります。
手術が決まりましたら禁煙をしてください。

◆歯について
全身麻酔を行う場合、麻酔薬で眠った後、器官へ人工呼吸のための管を入れます。
その管を入れる際に口を開ける器具を歯に当てます。
そのため、弱い前歯を損傷することがありますので、ぐらぐらしている前歯があればお知らせください。
歯科にてプロテクター(歯を保護するカバー)を作ることをお勧めします。

◆手術前の絶飲絶食について
強い睡眠薬は「むせる」という反射の力を弱くします。
ですから、もし麻酔がかかった後で胃の中のものを吐きますと、それが簡単に気管の中へ入ってしまい、窒息の原因になったり、胃酸によるひどい肺炎を起こしたりします。
全身麻酔でなくても睡眠薬を用いることがありますので、原則として手術当日の深夜0時からの絶食、手術室へ入る前2~3時間の絶飲をお願いしております。
ただし、患者様の体調や手術室へ入る時間帯によって変わることがありますので、詳しい絶飲食の時間は前日にご説明いたします。
手術の麻酔方法については、前日の麻酔担当医の診察の結果、決定致します。

◆全身麻酔について
全身麻酔は、麻酔薬を肺から吸入する吸入(ガス)麻酔と、静脈内へ注入する静脈麻酔に大きく分けられます。
通常は、まず、麻酔薬を点滴から注入しますが、これによりすぐに眠ってしまいます。
その後、器官への人工呼吸のための管を入れ、ガス麻酔では麻酔ガスを手術中ずっと肺へ送り続け、静脈麻酔では点滴から麻酔薬を注入し続けます。
いずれの麻酔でも、麻酔担当科医がずっとそばについて患者様の様子やモニターを監視して麻酔の深さを調節していますので、手術の途中で覚めてしまったり、手術が終わっても覚めなくなったりするということはありません。
手術終了後、麻酔ガスや静脈麻酔薬を切れば、通常は30分以内に麻酔から覚めて目を開けるようになります。
心臓手術などの一部の手術では、手術後もICUで麻酔をかけたまま状態を落ち着かせることがありますが、(麻酔の)薬を切れば同様に覚めてきます。

◆全身麻酔についてのQ&A
【質問1】麻酔薬の副作用によって体のどこかを悪くしないか。
【回答1】
全身麻酔がかかっている間は、呼吸が弱くなったり、血圧が下がりやすくなったりします。
しかし、呼吸に対しては全ての患者様で人工呼吸を使いますし、血圧も常備された薬や麻酔の深さで調節できます。
手術の後々まで残るような後遺症は滅多にありません。
但し、ごくまれに悪性高熱症といって全身麻酔によって手術中から大変な高熱を出し、生命の危険が及ぶ遺伝的体質をお持ちの方がいます。
この体質は手術の前の一般検査では分かりません。
起こる確率は非常に低く、何万人の全身麻酔に一回というものです。
手術中は、絶えず体温を監視し、体温の上昇を認めればすぐに治療を行います。

【質問2】もとどおり覚めるのだろうか。
【回答2】
麻酔薬というものは、時間とともに必ず切れてくるものですので、麻酔から覚めなくなるということはありません。
麻酔のアクシデントで、死亡または植物状態になるという危険はゼロではありませんが、近年の監視装置や薬の発達により麻酔の安全性は向上しています。
また、麻酔が原因の死亡率は10万回に1回とされています。
当院では、まだそのようなアクシデントは起こっていません。
しかし、手術そのものの危険性や患者様が元々持たれている病気が重症である場合の危険は別のものです。

【質問3】手術の後は痛いのではないのか。
【回答3】
麻酔科では、手術後の痛みをなくすためにあらゆる手段を講じています。
詳しくは術後鎮痛についての項をご覧ください。
※ここでは省略します。悪しからず。。。

【質問4】お酒をよく飲むが、麻酔にかかりにくいことはないか。
【回答4】現在使われている麻酔薬は強力であり、お酒をよく飲むことで麻酔がかかりにくくなることはありません。

【質問5】小さな子どもで高齢者でも、麻酔をかけて大丈夫か。
【回答5】
麻酔をかけるために必要な薬の量は、人によって違いますが、体重や年齢、体力によって薬の量を調節しながら麻酔をかけます。
産まれたばかりの赤ちゃんから100歳代のご高齢の方まで麻酔は可能です。

◆麻酔の危険性
万全の体制の下で麻酔は行いますが、以下のような症状が現れる場合があります。

・低血圧
麻酔が効いた直後、血圧が下がり気分が悪くなることがありますが、血圧を上げる薬を点滴に入れたり、点滴の速さを上げることで治まります。

・呼吸困難
麻酔が効き過ぎて胸の方までしびれた場合、息がしにくいと感じることがありますが、多くの場合は一時的なものです。
酸素を吸入したり、ごくまれですが人工呼吸を行うことで治まります。

・手術後の治療
手術後、体を起こす頃から歩き始めた頃から頭痛が起きることがありますが、通常は自然に治ります。
ごくまれですが、頭痛が長く続く場合は別途治療を行います。

・しびれが残る
手術後、麻酔薬が効き過ぎた結果、下半身に感覚が鈍い場所が残る場合がありますが、通常は時間とともに治ります。

今回はこの辺で。

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