方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


アルバイトと法律~労働基準法

今回は、アルバイトと労働基準法について。

実際は、もう少し範囲を広げて労働法関連となるけど。

さっそくだけど、アルバイトに労働基準法は適用されるのか。
答えは、適用される。
ちなみに、労働基準法では、労働関係の当事者について、労働者と使用者の二つについて定義されている。

【使用者】
この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

【労働者】
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

難しい書き方をしているけど、要は、正社員だろうが、パートだろうが、アルバイトだろうが、誰かに使用されて賃金を支払われる者が労働者となるのね。
つまり、パートやアルバイトって、会社組織では一番下っ端に見られがちだけど、実は、立派な労働者なわけ。
だから、パートやアルバイトというだけで、不合理に差別されることはあってはいけない。
現実は、パートやアルバイトの待遇って悪いと思うけど。

で、パートやアルバイトでも、労働基準法が適用される。
ちなみに、パートやアルバイトについて、労働基準法でカバーしきれない部分は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」というのがあって、これでカバーするようになっている。
これだと名称が長すぎるので、一般的には、パートタイム労働法って言うけど。

それで、ここからは、労働基準法等でパートやアルバイトがどのように保護されるかを見ていきます。

●最低賃金
パートやアルバイトだと、最も気になるのは時給ではないだろうか。
この時給については、最低賃金法という法律に定めがあって、毎年、見直しが行われている。
それで、原則として、時給は、この最低賃金の額を下回ることはできない。
最近の時給の傾向としては(ちょっとデータが古いけど)次のような感じとなる。

●有給休暇 実は、アルバイトであっても、有給休暇は取得できる。 いや、さすがにアルバイトで有給休暇は無理だろって、みんな思っている。 でも、労働基準法では、アルバイトでも有給休暇を取得することは認められている。 但し、この有給休暇は、働き方によって取得できる日数は異なる。 さすがに、1日8時間働く正社員と、1日4時間働くアルバイトで同じように有給休暇を取得することはできない。 それで、労働基準法では、有給休暇を取得できる日数について、通常の労働者とパートタイム労働者とで分けている。 パートタイム労働者は、次の二つを満たす者をいう。 ・週所定労働日数が4日以下(年間所定労働日数に換算して216日以下) ・週所定労働時間数が30時間未満 そして、通常の労働者は、パートタイム労働者に該当しない者となる。 それで、それぞれの労働者がどれぐらい有給休暇をもらうことができるかだけど、次のようになる。

参考までに書くと、有給休暇を取得するための要件は、以下の二つの要件を満たすこととなる。

・雇入れの日から6か月間経過していること
・その期間の全労働日の8割以上を出勤していること

●割増賃金
例えば、アルバイトでも残業をすることがある。
すると、割増賃金が支払われるかどうかも気になる。
この場合、使用者は、たとえパート、アルバイトに対しても割増賃金の支払いをしないといけない。
ちなみに、割増賃金は、通常の場合だと2割5分増しとなる。
例えば、時給1,000円の者が1時間残業した場合、割増賃金は1,250円となる。
実際に支払われるかどうかは、その店(会社)の法令順守のレベルによるんだろうけど。

●賞与
これ、もらえるものと思っている人多いけど、実は、任意の支給でOKだったりする。
だから、賞与を支給する・しないは、その店(会社)のさじ加減一つとなる。
また、賞与の支給要件を定めるのも、その店(会社)のさじ加減一つとなる。
一応書くと、給料は必ず支給しないといけない。

●不利益扱いの禁止
例えば、同じ仕事をしているにもかかわらず、パート・アルバイトという肩書だけで待遇が下がるということがある。
それで、最近だと、肩書だけで待遇に差をつけるのを止めましょうという動きが広がっている。
つまり、実質的には、正社員と同じ仕事だとか、同じ責任を背負わされているのに、パートには手当が付かないというのは許されないということ。
そのあたりを丁寧に書いた法律が、はじめの方にも出てきたけど「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」というやつ。
略して、パートタイム労働法。

それで、今では、同一労働同一賃金というのが導入されている。
つまり、労働者の肩書に関係なく、仕事内容によって給料が決定されるという考え方。
例えば、以下の項目は、肩書による待遇の差別が禁止されている。

・基本給 ・賞与 ・各種手当 ・福利厚生

もちろん、仕事内容や責任に応じて、正社員とパート・アルバイトの差別(区別)をするのは問題ない。
最終的には、法令順守をするのもしないのも、その店(会社)のさじ加減一つになるんだろうけど。
このあたりがきちんと守られるようになるのも、正直、まだまだ先のように思う。

今回はこの辺で。

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