方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


動機付け・衛生理論

今回は、動機付け・衛生理論。

これ、働いている人にとっては、ちょっと面白いお話。

例えば、企業の社内研修とかでも、出てくる場合がある。
で、この理論を提唱したのは、フレデリック・ハーズバーグというアメリカの心理学者。
で、その中身はと言うと、

「仕事をする上で満足となる要因」
「仕事をする上で不満足となる要因」

について、どのようなものがあるかということ。
要は、仕事をする上で、やる気につながるものとつながらないものってこと。

例えば、給料はどうでしょうか?
給料は、多いに越したことはないですよね。
ということは、多いとやる気アップにつながるように思われる。

逆に、少ないとどうでしょうか。
「こんな安月給でやってられるか!」と思う人もいるかもしれない。
ということは、給料は、少ないとやる気ダウンになるように思われる。

と、まー、こんな感じで、ハーズバーグは、働く上での条件に付いて、やる気につながるものとつながらないものを調査する。

で、その結果をまとめたものがこれ↓

で、これを見ると、あることに気がつく。
それは、動機付け要因と衛生要因が異なるということ。
つまり、やる気アップにつながる要因とやる気ダウンにつながる要因が違うわけ。
どういうことか分かりますか?

つまり、満足の反対は不満足でもなく、不満足の反対は満足でもないということ。

というわけで、ここからは、給料を例にしてみる。
給料。
多いに越したことはないだろう。
少ないと、文句の一つ二つ言いたくもなる。

ところが、今回の結果によると、給料というのは、衛生要因には該当しても、動機付け要因には該当しないんだとか。
つまり、給料というのは、少ないと不満にはなる。
しかし、多かったとしても、満足にはつながらない。
ということになる。

確かにね、給料って、多いと嬉しくなるし、少ないと悲しくなる。
でも、どこかで、もらえて当たり前って思う部分もある。
つまり、満たされて当たり前といった性質が強い項目については、満たされたとしても満足にはつながらないとなる。
逆に、こういう項目は、満たされるのが当たり前だから、満たされない場合は、不平不満につながる。

例えば、福利厚生なんかもそうじゃないですか?
どれだけ福利厚生が充実していても、そのことでやる気アップすることなんてないんじゃないですか?
逆に、福利厚生がショボかったら、文句のはけ口になるとは思うけど。

ただ、衛生要因の中に対人関係が入ってある。
これってどうなんだろう。
僕の中では、対人関係ってけっこう重要なんだけど。
ていうか、僕なんかは、けっこう人間関係で悩んだ方だから、人間関係が良い方が断然やる気もアップするけど。

で、次に、動機付け要因を見てみる。
こっちは、これが満たされると、仕事のやる気アップになるというもの。
例えば、だいたいこういったものが満たされると、やる気アップにはなると思う。
しかし、昇進は、少し疑問。

昇進することで自分の首を絞める場合もある。
特に、今の時代はそうじゃない?
少なくとも、僕は、周囲の人間を見て、「昇進=やる気アップ」という人間を見たことがない。
上に行けば行くほど、苦労も多いってみんな言うけど。。。
まー、上の役職に行けば、世間体は良いと思うけどね。

で、動機付け・衛生理論については、これで終わりなんだけど、実は、この動機付け・衛生理論には、元ネタがあったらしい。
元ネタって書いたけど、別に、パクったんじゃないから。
まー、下地となる研究があったっていうことね。
それが、マズローの五段階欲求説というもの。

これ、僕は、高校の現代社会の授業で習った。
なぜか、いまだに覚えていた。
まー、覚えていたと言っても「マズローの五段階欲求説」というフレーズを覚えていただけ。
中身については、ほぼほぼ覚えていないけど。

で、このマズローの五段階欲求説というのは、

「人間は、自己実現のために、つねに欲求を満たしていく」

という考え方。
「欲求を満たしていく」というのは、「成長していく」と言い換えても良いと思う。
むしろ、こっちの方が表現としては良いかも。
で、それが、具体的にどういうものかというと、以下の五段階からできているらしい。

レベル1:生理的欲求(衣食住の欲求)
レベル2:安全の欲求(肉体的・精神的安全の欲求)
レベル3:社会的欲求(集団への帰属欲求)
レベル4:承認の欲求(他者からの承認欲求)
レベル5:自己実現の欲求(自己の目的目標をかなえようとする欲求)

ゲームと一緒で、いや、ゲームと同じにしちゃダメなんだろうけど、レベル1の生理的欲求からスタートする。
これは、生きていくための最低限の欲求のこと。
で、これが満たされると、レベル2にすすむ。

レベル2は、安全の欲求。
これは、肉体的にも精神的にも安心して生活できることを求める欲求となる。
で、ここまでは、基本的に個としての欲求となる。

レベル3は、社会的欲求。
社会の中で自分の居場所を求めたり、つながりを求めるという欲求となる。
で、ここからは、集団としての欲求の性質が入ってくる。

レベル4は、承認の欲求。
これは、他人から認められたいと思う欲求のこと。
ひと昔前に、嫌われる勇気という本が流行った。
あの本の中に「承認欲求」というのがあったけど、まさにこのこと。
余談だけど、嫌われる勇気の中では、「承認欲求」は否定的に書かれてあったけど。

で、最後が、レベル5の自己実現の欲求。
集団の中で、いかに自己実現を目指していくかという欲求のこと。
それで、マズローの五段階欲求説と動機付け・衛生理論の関係だけど、レベル1、レベル2の相対的に低いレベルが「衛生要因」、レベル4、レベル5の相対的に高いレベルが「動機付け要因」に該当するんだそう。

今回はこの辺で。

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