方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


転職について~これも働き方改革か

今回は、転職について。

一応書くと、「転職」であって「天職」ではない。
しかも、「天職」はないから。
あると思ってみんな探すんだけど、ないから。

で、僕の中では、転職に対して良いイメージはない。
そもそも、僕は、

・日本人は滅私奉公も厭わない。
・日本人は勤勉

だと思っていた。
これこそが、日本人の働き方だと思っていた。
つまり、美であり、鏡であり、伝統だと思っていた。

ところが、これ、ウソだったらしい。
正直、マジかって思った。
だって、外国人から見た日本人のイメージって「勤勉」だと言ってなかった?

でも、日本人が今のような働き方をするようになったのは、戦後になってからなんだとか。

例えば、僕なんかは、「武士は二君にまみえず」が正しいと思っている。
つまり、「コロコロと主君を変えるのは良くない」と思っている。
でも、調べてみると主君替えをした人って多かったりもする。

例えば、江戸時代だと士農工商があって、身分と職業がリンクしているように思っていた。
そして、滅私奉公で仕事に励んだと思っていた。
ところが、これも違うらしい。
武士については、だいたいが武士を続けたともあるけど、他の身分は、色んな仕事をしていて生計を立てていたそう。
しかも、滅私奉公する者もいたけど、そうでない者もいたとか。
少なくとも、勤勉とか職人気質みたいなイメージはない。

それで、話を戻して、戦前の日本は、転職する人が多かったらしい。
さらに、家業をしながら転職先を探すといった感じで、少なくとも、今みたいな固定した職業につくというのでもなかったらしい。

次に、会社から見た場合。
僕は、日本は、昔から終身雇用だと思っていた。
ところが、戦前の日本では、会社が従業員を解雇することもふつーにあったらしい。
少なくとも、労働者は会社風土に染まってしっかり働き、会社は労働者を守るというイメージではなかったらしい。
つまり、会社もそこまで労働者のことを思ってはいなかった。

出典が不明だけど、明治か大正あたりの資料によると、

「日本人は持続力がなく、すぐに会社を辞めてしまう」

といったことが書かれてあるらしい。
また、昭和二年の文部省訓令によると、

「何れの場合を問はず、転職は慎むべきこと」

とあるらしい。
やはり、日本人は、あまり勤勉な民族ではなかったのかもしれない。
これ、もし、坂口安吾風に理解するなら、

「日本人というのは、もともと勤勉ではなく、いい加減なところもあって、終身雇用制度がないとそんな日本人をきちんと働かせることができず、日本人というのは制度や規則に従順ではあるけど、日本人の心は、制度や規則とは全く逆である」

となるのかもしれない。

今の日本は、みんな、働くことに不満を持っている。
しかし、だからと言って、不満を持つ者全てが転職をするわけでもない。
このあたりは、「日本人というのは制度や規則に従順ではある」の部分が当たるのかもしれない。
しかし、「日本人の心は、制度や規則とは全く逆である」のだ。

ところで、最近の転職割合について見ると、調査機関にもよるけど、だいたい5~10%の割合で推移しているらしい。
また、過去に転職をしたことがあるという人の割合になると50%を超えるという結果もあるんだとか。
つまり、転職に抵抗を感じながらも、一定数の転職組がいることが数字からも分かる。

例えば、僕が、以前勤めていた会社。
僕がいた部署では、最低でも4割は転職組だったと思う。
しかも、役職者のほとんどが転職組。
さらに書くと、入ってくるのも多かったけど、出て行くのも多かった。
まー、最終的に、僕もその会社辞めたけど。。。

それで、たまにだけど、転職について妻と話すこともある。
どうも、周期的に辞めたくなることがあるらしい。
まー、分からないでもない。
僕は、最後の方、全ての周期で辞めたかったけど。

ただ、その理由が、「仕事が面白くないから」
だって。

まー、いつもそうなんだけど、理由が大したことがないのね。
切羽詰まった感がないというか。
まー、あくまでも僕目線だけど。

一応書くと、妻の会社は、この辺ではまーまー有名な会社。
世間的には、優良企業とされている。
まー、表向きはね。
ちなみに、僕も、もともとはこの会社で働いていた。

で、僕は、自分がこの会社を辞めた時の話をする。

・なぜ、僕が会社を辞めたか
・会社を辞めることがどういうことか
・ハローワークに通うことがどういうことか

その辺の話を、こんこんとするのね。
一旦、道を踏み外すとなかなか元には戻れない、と。
すると、妻も「やめとくわー」ってなる。
いや、ちょっと説得されてすぐに思い直すようじゃ、多分、今の会社を辞めることはないはず。
まー、その方が良い。

あと、たまにだけど、妻の父の話もする。
お義父さん、とても転職が多い人だった。
一回、僕も年金定期便だったかで見せてもらったけど、あの用紙が三枚あったと思う。
ふつーは、一枚だから。

で、妻が、「お父さんは、転職を繰り返した」とか「お母さんは、だいぶ苦労したと思う」って言うわけ。
で、僕が会社を辞めた時だったか、お義父さんと話す機会があった。

「僕も、いい仕事につきたいと思って、転職を繰り返したけど、結局、いい仕事は見つからず、どんどん待遇だけは悪くなっていった」

と言っていた。
多分、これが現実なんだろう。

でも、これだけ転職を繰り返すのも、かなり勇気がいったに違いない。
お義父さんは、一つの会社でずっと働くだけでの勇気はなかったかもしれないけど、何回も転職にチャレンジする勇気はあったのではないか。

そんなことを思っていると、僕は、結局、一つの会社で定年まで勤め上げるのと、転職を繰り返しながら定年まで働くのと、どっちがいいのか本当に分からなくなる。
世間的には、前者の方がいいに決まっているとなるんだろうけど、目の前に後者の人間がいて、その人の話を聞けば、必ずしも転職を繰り返した人間がダメだとも思えない。

もしかしたら、これからの世の中は、転職を成功させることも「働き方改革」の一つになるのかもしれない。

今回はこの辺で。

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