方丈記に、似た運命

― 懐かしい古典が、今、蘇る ―


ハロー効果

これは、有名な心理学効果。
知らない人でも、思い当たる節はあると思う。

例えば、僕の場合。
僕は、肩書や学歴を気にする傾向がある。
肩書だと、課長、部長、主幹研究員、○○取締役とか。
学歴だと、旧帝大出身かどうか。
で、こういうのを見ると、「すごい人なんだろうなー」って思う。

昔、会社員をしていた頃、何かの案件で、メールで問い合わせをしたことがあった。
で、メールで返事をもらい、PDFを開けて文書確認をしたところ、役職欄に・・・

「スペシャリスト」

ってあった。

ん?
どういうこと?
何のスペシャリスト?
ていうか、役職がスペシャリストって。。。
それなら僕だって、失敗のスペシャリストだったけどさ。。。

ごめんなさい。
どうでもいい話ですね。

ハロー効果って言うのは、平たく言えば、

「一部のことで、全体を決めてしまうこと」

となる。

例えば、次のような感じ。
・小さい犬を可愛がっていたから、きっとこの人は良い人だろうって思う。
・整理整頓ができていないだけで、こいつはダメな奴って思う。

まー、ちょっと極端かも知れないけど。。。

このハロー効果、いわゆる挨拶の「ハロー」ではない。
よく最初に聞いた時に「挨拶のことか?」と思う人がいる。
でも、挨拶は関係ない。
英語で書くと「Halo effect」となる。
「hello」じゃないでしょ?

で、このハロー効果のハローは、後光のこと。
ほら、よく後光が指すって言うでしょ?
その後光。

何となくのイメージだけど、後光が指すなんて言うと、勝手に、ありがたいもの、素晴らしいもの、って思うことないですか?
ハロー効果って言うのは、それが転じて、

ある人物に対する評価として、その人のある一部分の事実や印象が強過ぎることで、そのことが関係のない他の部分にまで影響を与えてしまい、結果的に、一部分の事実や印象だけで、その人の全体の評価を決めてしまうこと

となる。

ことわざで言うと、

・坊主憎けりゃ袈裟まで憎い
・葦の髄から天井を覗く

といったところでしょうか。

他にも、最近だと

・人は見た目が100パーセント
・女は見た目が10割

とかありましたよね。

多分だけど、昔から、こういう一面だけを見て、全体像を把握するというのはあったんだろうね。
僕も、そういうのあるし。
だから、その意味では、ハロー効果と言うのは、別に良いものでも悪いものでもない。
単なる学術的な用語って言うわけ。

で、ここからは、ハロー効果を利用したと言われる事件のお話を少し。
それは、西口彰事件。
この西口彰事件と言うのは、西口彰による連続殺人事件。
だから、実は、まーまー恐ろしい話。

一応書くと、この西口彰、最終的に犯した罪は、

殺人・・・・5件
窃盗・・・・2件
詐欺・・・10件

怖すぎる。。。
で、当然だけど、最終的に死刑判決が出て、すでに亡くなっている。

この西口彰、まず、福岡県で2人を殺害する。
そして、現金260万円を奪って逃亡する。
それで、福岡県警は、すぐに西口彰を全国に指名手配する。
で、それを知った西口彰は、偽装自殺をするも、すぐに警察に見破られる。

その後、西口彰は、神戸、大阪、名古屋と各地を転々とする。
そして、西口彰は、大学教授に変装して、静岡県の旅館に宿泊する。
そして、そこで、宿の主人と息子を殺害する。
しかも、今度は宿の主人になりすまして、宿にあった骨董品などを全て現金に換金する。

一旦行方をくらますと、今度は東京に出没する。
そして、会社役員になりすまして、弁護士を殺害する。
そして、再び逃亡。

最後に出没したのが熊本。
西口彰は、弁護士に変装して、僧侶で教かい師の家を訪問する。
で、ここでも、家族全員、西口彰を弁護士だと信じていた。
ところが、そこに11歳の娘だけは、初めて見た時から「この人は西口彰だ」と見抜く。

というのも、この子は、毎日、学校に行く時に指名手配書を見ていた。
しかも、同級生に西口彰に似た名前の子がいたために、普段から西口彰のことを気になっていたとか。
で、両親に「西口彰に間違いない」って言う。

ところが、両親をはじめ、家族は、西口彰だとは思っていなかった。
というのも、西口彰は、東京で弁護士を殺害した際に、弁護士バッジを奪っていて、それをスーツに付けていた。
しかも、眼鏡をかけてどこかインテリ風でもあった。
で、家族からは「弁護士に失礼よ」なんて言われたとか。

ただ、最終的には、その家の主人が警察に連絡をして、警察が確認したところ、西口彰に間違いないことが分かる。
そして、西口彰は捕まった。

事件の概要としてはこんな感じ。

で、なぜ、家族の誰も疑わなかったのに、11歳の女の子が見破ることができたのか。
その時、取材を受けた犯罪心理学者は、次のようにコメントしている。

大人たちは肩書や身なりで判断していたため、彼を西口彰だとは思わなかった。
しかし、11歳の子には肩書や身なりはあまり意味を持たず、むしろ顔だけで判断したため彼を西口彰だと見破ることができた。

僕も、そうだと思う。
ただ、個人的には、この教かい師、実は、お寺の住職もしていた。
そういう事情もあって、この11歳の女の子は、普段から大人を観察することが身に付いていたという気もする。
あと、このコメントを聞くと、大人でも、ハロー効果に騙されやすいのかもしれないと思う。

今回はこの辺で。

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